10月第3週の振り返り

10月第3週(10/14-10/20)

フランス法文献講読

今週はない。

債権総論

債務が存在しない場合には非債弁済となり、錯誤により弁済したときは不当利得の返還請求ができる。徳義上の債務など、債務の不存在を知っていたときは請求できない。

複数個の債務を負担する場合、そのすべてを消滅させるに足りない弁済をいかに充当するかが問題となる。合意(490条)、指定(488条1項・2項)がなされない場合は法定充当(488条4項)となり、弁済期が到来したものの中で債務者にとって利益の大きいもの(額が大きいもの(4号)からではない)から充当される(1号)。利息付き債務は費用・利息・元本の順に充当される。

弁済にあたって債権者の協力が得られない場合(賃料の受け取り拒否、作物の買い取り拒否など)、債務不履行のリスクを債務者に負わせるのは酷であるという観点から、弁済の提供をした債務者は損害賠償責任を負ったり契約解除されたり、利息や遅延損害金・違約金・担保権実行も発生することはない(492条)。

ただし弁済の提供だけをもって債権が消滅するわけではなく、供託が必要である(494条)。

並列プログラミング

コンパイラは自動的に複数回使われる配列要素をレジスタに格納するように最適化してくれるはずだが、そうでないこともあるので明示的に変数に代入するほうがよいとのこと。

Oakforest-PACSに積まれているMCDRAMは高帯域幅であるがレイテンシはDDR4より大きいため、単一の配列要素を持ってくる際はDDR4の方が早いという結果になる。

法医学

インフォームド・コンセントの原点は国民皆保険でない米国において医療サービスを患者が買うところにある。日本では医師が治療法を決定することが多く患者は従来説明を求めてこなかったという。

日本では医師法で犯罪性があるものと判断した場合のみ届け出ることになっているので、長らく広尾病院事件の判決以降「外表に異状がなければ届け出なくてよい」という誤った(医師・警察の取り扱い上便利な)解釈が広まっていたが、2019年に入って厚労省の「医師による異状死体の届出の徹底について」という通知の中で、外表に異状所見がなくとも、経緯・現場状況などの事情を考慮することを求めており、外表異状説が明確に否定され改善がみられた。

医療事故の異状死届け出は犯罪の自首かのように認識されている(犯罪発見に偏った死因究明制度)。医療版事故調査委員会が制度化されたが、院内事故調が病理解剖を行った結果を報告するもので、法医解剖でもないため有効性が疑問視されている。

また司法解剖の結果開示が不十分で、遺族との示談にも用いることができない問題がある(司法解剖を経ても証拠として用いられる刑事訴訟になりづらく、刑事訴訟にならないで民事訴訟だけ行われると司法解剖結果は開示されない)。死因・身元調査法下の解剖では報告書が証拠に封じられることがないので、活用されることが期待される。

諸外国では臓器移植においてもドナーの権利擁護のため異状死ドナーの解剖要否を法医学者が判断し、必要であれば臓器摘出後に解剖・死因究明が行われる。

ネットワーク論

ホストは通常ルータ=デフォルトルート(route)への経路のみを知っており、どの方面にパケットを投げればよいかはルータが詳細な経路表を構成して判断する。ルータは自分の下部にあるネットワークの中(動的経路制御では自動的にルータ間で経路情報が交換されるので、下部にどのようなネットワークアドレスがあるのか把握している)宛てのものについて、ルータが属するネットワークならデータリンクで繋がっているためそのまま配送し、属さないなら下流のルータに取り扱いを任せるため下流ルータをネクストホップ(転送先)とする。上流のことを下流が把握すると無駄が生じるので、下部にないネットワーク宛てのものはすべて上流のルータ(デフォルトルート)に渡す。

RIPに代表される距離ベクトル型経路制御プロトコルでは、Bellman-Ford法(O(VE))を用いて定期的に経路情報を広告する。小規模ネットワークに向く。

OSPFに代表されるリンク状態型経路制御プロトコルでは、Dijkstra法(O(V+ElogE)によってネットワーク内の全ルータで各ルータのリンク情報を共有する(ネットワーク全体にfloodingする)ことで、一回経路が確立すれば後は変化情報のみ伝える。そのため恒常的なトラフィックが減り、大規模なネットワークに向く。

しかしながら単一のOSPFドメインで全世界を接続することは非現実的であり、経路制御プロトコル(Interior Gateway Protocol)を共有するネットワークの集合をAutonomous Systemとしてグループ化し、グループ内に障害を局限する・AS間で(External Gateway Protocol:現行BGP4)経路を集約することを実現している。

BGPはパスベクトル型の経路制御プロトコルであり、ホップ数ではなく経路そのものを順に広告し、受け取った側が最短パスを選択して次に広告していく。AS経路はtraceroute -Aオプションで確認できる。

しかしBGPの経路情報が真正なものと確認する方法はない(e.g. 経路ハイジャック)ため、情報を蓄積するデータベースInternet Routing Registryを設けて正当性の確認、連絡先情報の記載などを行っている。